第5号 2006年9月20日
★吾輩はチロ、番犬見習いです。





 

 お盆前に、隣の家に生まれた仔犬を譲ってもらいました。名前は「チロ」。ラブラドールレトリバーの雑種です。

  真っ黒の毛色に、麻呂眉の凛々しい顔立ち。喜んだり、興奮するとすぐにおしっこをちびるのが玉にキズです。まだまだ、子供たちにかわるがわる抱っこされたり、引っ張りまわされたりして、いい「おもちゃ」です。まだ片手で抱けるほどの大きさですが、手足は太く、がっしりしていていかにも大きくなりそうです。

 カルシウムたっぷりの牛乳をたくさん飲んで、早く立派な番犬になってください。

 
★「冬支度」始まる















 

 ススキの穂が、風にたなびく季節になりました。

  以前この通信で、牛の主食となる牧草の収穫作業のことや、良質なロールが確保できそうだというお話をしました。先週の日曜日、今年最後の牧草の収穫を行ないました。今年収穫したロールの数は約600個になりました。いよいよ「冬支度」の始まりです。

 小国は、標高が高く寒さが厳しいところです。雪も「ここは本当に九州か」とびっくりするほど積もります。そのため酪農家は、冬に向けた保存食(サイレージ)を作らなければなりません。

  数年前までは、うちの牧場でも、飼料用とうもろこしの栽培を行い、サイレージを作っていました。しかし、自分の理想を追い求めるうち、冬の間も自家栽培の牧草でと考え、少しずつ牧草畑の面積を広げ、現在の広さ(約13ha)になりました。

 同時に「有機認証」の取得と「無農薬栽培」に向けた取り組みを本格化させました。飼料となる牧草の栽培には、化学肥料を一切使わず、時間と手間をかけて発酵させた自家産の堆肥と、魚を原料とした有機肥料のみを使います。

  堆肥は、牛の排泄物から作ります。水分を取り除き、何度も「切り返し」を行い、空気に触れさせて発酵させて作ります。時間と手間をかけて作られた良質な堆肥は、いやなにおいもなく手で触ってもさらっとしています。

 有機肥料を使うやり方は、化学肥料を使用する方法に比べて手間もコストも格段にかかります。しかし、安全・安心な牛乳を提供すること、自然環境に余計な負荷をかけないことという視点から、生産者としての責任を果たすために取り組んでいます。

 認証は、申請してすぐ取得できるものではありません。3年間の実績を積んで初めて認められるもので、現在はそのステップを一段ずつ登っている段階です。畜産業界では、全国的にもきわめてまれな取り組みであるらしく、専門家の方をはじめ多くの方から応援をいただいています。

 牧草を刈り取った後の畑に、堆肥を鋤込み、きちんと耕す。地味な作業ですが大事な作業です。地力がすべての根源であると思います。「ありがとう、またよろしくお願いします」という気持ちを込めながら、根気よく取り組みたいと思います。

 
★銀座熊本館にいってきました。












 

 9月5日から17日まで、熊本県のアンテナショップ・銀座熊本館で「阿蘇フェア」が開催されました。

  その中で「山吹色のジャージー牛乳」を店頭販売しないかというお話をいただきましたので、仕事をやりくりして奥さんと2人で行ってきました。

 当日は、朝早くから搾乳の段取りをしたうえでヘルパーさんを手配し、バタバタと空港に向かいました。熊本を8時に発つ飛行機に乗ったあと、モノレールと電車を乗り継ぎ、11時半ごろ会場に着きました。

 銀座熊本館は、晴海通りと外堀通りが交差する銀座5丁目、ソニービルの隣にあります。今回は、牛乳とヨーグルト80本を用意、いつものように試飲していただきながら感想などを頂戴しました。飲んでいただいた皆さんからは「懐かしい味の牛乳だ」「甘いけどすっきりしている」「とりよせはできるのか」というような声を頂きました。また「山吹色」という名前に興味を持つお客様も多く、実際に牧場に行ってみたいとおっしゃる方もいらっしゃいました。平日にもかかわらず、夕方には完売。ほっとしました。

 次の日は、観光や買い物をする間もなく昼の便で熊本にトンボ帰り、夕方には牧場に戻っていつもどおり搾乳。あまりの落差に嫁さんと顔を見合わせました。本当に久々の、また初めて夫婦一緒の東京だったのですがこれも酪農家の宿命です。
しっかりしたものを提供すればきちんと評価いただけるということを実感し、これまで以上に、安全で高品質な牛乳を提供しなければと認識を新たにした一日でした。

 写真にもありますが、銀座の真ん中に「山吹色のジャージー牛乳」ののぼりがなびいている風景は、半年前には想像もつきませんでした。これも多くの方々の支援のおかげだと改めて感謝しています。本当にいい経験をさせていただきました。

 追伸:熊本県の職員の方々には、細かいところまで非常に良くしていただき非常に感謝しています。熊本県のブランドを高めるお手伝いができるように、これからもがんばります。遅くなりましたが、この紙面を借りてお礼を申しあげます。


★バックナンバー★
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2006年7月11日号
2006年6月15日号
2006年05月10日号



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