ススキの穂が、風にたなびく季節になりました。
以前この通信で、牛の主食となる牧草の収穫作業のことや、良質なロールが確保できそうだというお話をしました。先週の日曜日、今年最後の牧草の収穫を行ないました。今年収穫したロールの数は約600個になりました。いよいよ「冬支度」の始まりです。
小国は、標高が高く寒さが厳しいところです。雪も「ここは本当に九州か」とびっくりするほど積もります。そのため酪農家は、冬に向けた保存食(サイレージ)を作らなければなりません。
数年前までは、うちの牧場でも、飼料用とうもろこしの栽培を行い、サイレージを作っていました。しかし、自分の理想を追い求めるうち、冬の間も自家栽培の牧草でと考え、少しずつ牧草畑の面積を広げ、現在の広さ(約13ha)になりました。
同時に「有機認証」の取得と「無農薬栽培」に向けた取り組みを本格化させました。飼料となる牧草の栽培には、化学肥料を一切使わず、時間と手間をかけて発酵させた自家産の堆肥と、魚を原料とした有機肥料のみを使います。
堆肥は、牛の排泄物から作ります。水分を取り除き、何度も「切り返し」を行い、空気に触れさせて発酵させて作ります。時間と手間をかけて作られた良質な堆肥は、いやなにおいもなく手で触ってもさらっとしています。
有機肥料を使うやり方は、化学肥料を使用する方法に比べて手間もコストも格段にかかります。しかし、安全・安心な牛乳を提供すること、自然環境に余計な負荷をかけないことという視点から、生産者としての責任を果たすために取り組んでいます。
認証は、申請してすぐ取得できるものではありません。3年間の実績を積んで初めて認められるもので、現在はそのステップを一段ずつ登っている段階です。畜産業界では、全国的にもきわめてまれな取り組みであるらしく、専門家の方をはじめ多くの方から応援をいただいています。
牧草を刈り取った後の畑に、堆肥を鋤込み、きちんと耕す。地味な作業ですが大事な作業です。地力がすべての根源であると思います。「ありがとう、またよろしくお願いします」という気持ちを込めながら、根気よく取り組みたいと思います。
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